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家に帰ると、そこには愛用のエプロンをした黒ずくめの青年が夕食を作っていた。 「ただいま」 「昌平。 遅かったな。 何かあったか?」 「ああ、ちょっとな」 そう言いながら、その青年は作っていた煮物の味見をして「フム」などと言って醤油を少し足した。 どうやら今夜は筑前煮らしい。 「今夜は煮物か。 美味そうだな」 「奥でビールでも飲みながら待っていろ。 もうすぐ出来る」 その青年の名は、風守切人。 昌平や知人からは『キリト』の愛称で呼ばれている。 こう見えて、その正体は妖怪カマイタチ・・・人間などではない。 「悪いな、いつも」 「気にするな。 やることがないからやっているだけだ」 そんな彼が何故、昌平のご飯を作っているのか。 それは、彼が家事全般をそつなくこなせるためと、ヒマだったからだ。 実際、昌平のバイト先には、彼はついていけない。 なぜか? それは彼が周囲にいるだけで、店内に僅かだが風が吹いてしまうからだ。 彼は風に潜み、その中を風より早く駆け抜ける妖怪だ。 そのせいか、彼は無意識の内に風を吹かせてしまうのだ。 それが密閉された室内であってもだ。 そんな不自然な風のせいで、過去に妖しげな噂が広まった事があった。 しかも、それを聞いた霊感の強い人間が、その店に様子を見に来た事があったのだ。 そんな人間にキリトの存在を探知され、お節介な霊能力者に声をかけられる事にうんざりした昌平はキリトの同行を断った。 当然、そこのバイトをやめて、今では違う場所でバイトをしている。 キリト自身、霊能力者に追い回される事にウンザリしていたので、それ以来、バイトの時はついていかない事にしていた。 昌平の足にあわせると、逃げるのもひと苦労なのである。 しかし、そうなると、特に週末など時間が余ってしまう。 そこで、彼は家事を担当し、その余った時間で図書館などに通っていたのである。 そういう意味では、実に勉強熱心で家庭的な妖怪であると言えるのかも知れない。 「お前は、そんな事をしておるのか?」 そう笑いながら声をかけたのは、昌平の後から入ってきた白姫であった。 「ああ、紹介するよ。 こちら白姫さん。 キリトに用があるんだって」 そう言われたキリトは、鍋の火を消すと、白姫に向かって頭を下げた。 「・・・白蛇姫様。 おひさしぶりです」 「そうだな。 かれこれ500年ぶりになるかな? 元気そうでなによりだ」 「流石です。 ここまで完璧に妖気を消せるなど・・・あやかりたいものです」 「なに、長生きしていれば、お前とて出来るようになるさ」 そんなやりとりをしていた二人に、訝しげに昌平が問いかけた。 「キリト、知り合いの人だったのか?」 「ああ。 この方には昔、色々とお世話になった。 今でも頭の上がらない方なのさ」 「まあ、助ける事の出来る者が、同族を助けるのは当たり前の事だ、 そう恩に感じる事はない」 そして、そんな会話の後。 昌平は食事を済ませて・・・後は宴会となった。 ちなみに、この家には酒・・・日本酒の備蓄がかなりある。 それは、キリトの好物が日本酒であったからだ。 一升瓶が8本。 銘柄は全てキリトと昌平の地元であった加瀬谷の近くの地酒である。 その8本の一升瓶が次々に空になっていくのを、昌平は悪夢でも見ているかのような気分で眺めていた。 「白姫さん? そんな無茶な飲み方して美味いんですか?」 その前では、白姫が休むこと無く一升瓶から手酌で自分のコップに酒を注ぎ、次々に飲み干していた。 一人なら、きっとラッパ飲みしているであろう。 そんな豪快な飲みっぷりであった。 「美味いぞ。 酒はやっぱり良いな。 特に、このイカの干し物が良く合う」 そういうと、スルメを簡単に引き千切り(裂いて、ではない)口に放り込む。 ほんのりと赤くなった顔は、とにかく嬉しそうであった。 「・・・よほどお酒が好きなんですね」 「ああ。 大好きだ。 これは人間と付き合うことになってから一番の発見だったな」 「それまでは、お酒の事を知らなかったんですか?」 「まあな。 質の悪い酒なら何度か飲んだことがあったが・・・こういった美酒を作り出せる人間は凄いと思うぞ」 そういって嬉しそうに酒を飲む白姫の言葉を、苦笑を浮かべたキリトが補足した。 「白蛇姫様はお酒に目がなくてな。 一度本土に遊びに来た時に飲んだ酒の味が忘れられなかったんだそうだ。 それで、人間がその島に住むことの代償に酒を献上する事を要求したんだそうだ」 それを聞いた白姫は、苦笑混じりにキリトに答えた。 「キリト、そんな昔の話しはもう良いではないか」 「それで、なんで生贄なんて捧げられるようになったんです?」 「それがな・・・間が悪い事に、私が丁度、脱皮しかけていた時期に人間に姿を見られてしまったんだ」 「それで、ですか?」 「ああ。 それまではこの姿でしか人の前に現われた事はなかったんだがな。 もっとも、あの頃はまだ鱗を消しきる事が出来ていなかったから、こんな風貌だったがな」 そういうと、白姫は全身に白銀の鱗を生やした。 その姿は、恐ろしげではあったが、邪悪さは感じなかった。 その鱗は、それから数秒後に消え去った。 どうやら自由に生やしたり消したリ出来るらしい。 「どうした? そんなに怖かったのか?」 「いえ・・・なんっていうか・・・神秘的ですね」 「神秘的・・・か。 面白い事を言うヤツだ。 だが、その当時の人間は私の正体に驚いたのさ」 「昌平。 白蛇姫様の本当の姿はな、全長20メートルをこえる白蛇なんだ」 「ああ、なるほど」 「怖くないのか? 私が本性をあらわせば、お前など一飲みだぞ?」 「いいえ。 アナタからは邪悪さは感じませんから」 「フッ・・・本当に聡いヤツだ。 キリト、お前は良い友人をもったな。 友と呼べるほどの仲の人間のいない私には、お前が少しうらやましいそ」 そう言うと、白姫は酒を再び飲み始めた。 「なぜなんです? 崇められるているのなら、人間と共に暮らすことも出来るでしょう?」 「それは出来ぬのさ。 私は、崇められるだけで、人と共には住めない。 また、人間もそれを望まない。 そんな一線を引いた関係なんだよ。 それに、ここ百年のあいだは直に島の人間と会ったことはない。 今や、いるかどうかすら分らない島の守り神兼、縁結びの神なのさ」 「まだ、怖がられるんですか?」 「そうだな。 島の伝承には私の正体も詳しくのっている。 ・・・やはり怖いのだろうな」 そういって酒を飲む白姫に、キリトが問いかけた。 「そういえば、ここ百年くらい本土にくる回数が増えたそうですね」 「少し前まで封じられていたのに、良く知っているな?」 「この地にも仲間はいます。 彼らから聞きました」 「まあな。 縁結びの神は色々やる事が多いのさ」 白姫は、そういって笑う。 そして、その笑顔の裏に潜む孤独感に・・・キリトだけは気がついていた。 それからニ時間後。 酒が残らず無くなったのを見た白姫は、宴会の終りとした。 ちなみに、昌平はキリトと共に一升瓶一本を空けたために酔いつぶれる寸前であった。 残りの七本は、全て白姫が飲んだ事になる。 しかし、その頬が僅かに赤みを帯びているだけで、いたって平然としているのは流石といっていいだろう。 「昌平。 今宵は楽しかった。 だが、私の用件はこれからでな。 キリトを暫く借りて良いか?」 「・・・」 もはや意識を保つのが精一杯な昌平は、手でOKサインを出すことしか出来ない。 「昌平。 カギをかけておくから、奥でゆっくり休んでいてくれ。 朝までには帰る」 そう言い残すと、キリトは部屋のカギをかけると、白姫と共に部屋を後にした。 深夜の街を、二人の妖怪が歩いていた。 その組み合わせは、本来人目を引くはずである。 しかし、周囲の人間にはキリト一人しか見えてはいない。 余程、霊感の鋭い人物であるか、白姫自身が望まない限り、その姿は人には見えないのだ。 そして、その横を歩くキリトは全身黒づくめであるために、今の時間では殆ど人目をひかない。 そのせいで、周囲の人間は、この二人に全くと言って良いほど気付いていなかったのだ。 「私の事は気にせず、本性の姿に戻れば良いだろうに」 「いえ、最後の挨拶くらいはアナタと同じ人の姿でしたいと思いまして」 「・・・そうか。 ついてくる気はないのだな」 そうため息混じりに答えた白姫に、キリトは毅然とした声で答えた。 「はい。 私はこの地に留まります。 仲間達から、アナタがここ百年の間に、本土に住む同族に共に住む場所を変えようと声をかけていると聞きました。 この地を捨てることにしたのですか?」 「ああ。 この地は我らが住むには少し汚れ過ぎた。 ここよりマシだという大陸に移ろうかと思う。 大陸の者達も、最初は難色を示してはいたが、今はもう違いに干渉しないという事で納得してくれた。 後は時間が解決してくれるだろう・・・。 それで、それに賛同する同士を集めていたのだ。 私はお前達、カマイタチにも声をかけている。 縁談というのは嘘ではない。 加瀬谷の主、大カマイタチ兄弟の二郎と聞けば、相手は喜んでいたぞ?」 その言葉に、苦笑混じりに答えるキリト。 「私は、今は守りたいとおもう者がありますので・・・」 「昌平か。 ・・・あれは良い人間だな。 だが、お前は過去の失敗から、何も学ばなかったのか?」 「あいつは私を絶対に裏切りません。 昌平が私を信じてくれている以上、私もあいつを裏切れませんし、裏切る気もありません」 その言葉には迷いはなかった。 幾つもの戦いを経て築き上げてきた信頼と言う名の絆はそう簡単には捨てられない。 その瞳は、言葉以上に雄弁に語っていた。 「そうかもしれないがな・・・。 だが、今後もそうだと言い切る自信はあるのか? 人の心はうつろうものだ。 今がそうだからと言って何十年後もそうだとは限らない。 あの時、お前はそれを学んだはずだぞ?」 「・・・」 そう静かに告げられた言葉は、キリトから言葉を奪った。 「お前は、私の忠告を無視して、あの人間・・・小春と共に生きたいと言ったのだ。 だが、どうだ? その結果・・・お前はあの襲撃の日、小春を守る事に終始してしまった。 里の長の息子であったお前達が、戦闘の指揮を取らないでどうするつもりだったのだ? 小春の盾となって、お前の仲間も死に、それを知った人間は、小春を殺そうと躍起になった。 そうすれば、厄介な敵が進んで矢表に立ちふさがってくれると分っていたのだからな。 お前と小春を守り、逃がすために、里に住む大カマイタチは進んで犠牲になったのだ。 結局、生き残ったのは、お前と兄の二人だけではないか? そんな仕打ちをうけて、まだ人間との共存を望むのか?」 「・・・」 それは激しい叱咤ではない。 むしろ、慈しみすら溢れていた。 白姫は本気で、キリトの将来を心配しているのだろう。 それが分るだけに、キリトは言葉を返せない。 「・・・悪かった。 言い過ぎたな。 それに、それは小春との仲を容認した私の責任でもあるのだ。 その当時、お前らのやろうとしていた事は私にとっても興味深い事だった。 だがな・・・私は、それを危惧してもいたのだ。 だから、あれだけ忠告していたのだ。 人間は、基本的に自分勝手だ。 自分達の利益にならないと分れば、排除にかかり、それが叶わないと知ると、途端に崇め始める。 自分達はもう敵対などしないから勘弁してくれとな。 それが、人間達と私達妖怪の精一杯の共存の方法なのだろう。 最近、特にそう思うようになった。 現に、あの小春は・・・お前を裏切って、最後には人間と共に生涯を送ったしな」 そう寂しげに告げた白姫に、キリトは今度は反論した。 「それは、間違いです」 「なぜだ?」 「彼女は・・・小春は、私に言いました。 きっと私達が・・・妖怪が人間と共に暮らせる事の出来るような村を作ってみせると。 そういって彼女は、名を変えて麓の村に入ったのです」 「・・・だが、その約束は果されなかったのではないか?」 「彼女はその約束を果してくれました」 「何処がだ? お前は500年もの間、封じられたのだぞ?」 そう心底不思議そうに言う、白姫に微笑みを浮かべてキリトは答える。 「昌平です」 「・・・まさか、小春の子孫だとでも言うのか?」 「はい。 小春は、加瀬守の家に・・・当時、村長をやっていた人間の家に嫁いだんです。 彼女の願いは、それから500年もの間、その家で生き続けていた事を昌平から聞きました。 私は、その事を知らずに、兄と共に人を殺し回っていたのに・・・。 正直、小春の言葉を信じずに申し訳ない事をしたと反省しています。 私は小春の子孫によって・・・風守の一族によって、その約束を果されたんです」 それは遠い日の約束だった。 しかし、その約束は、その当時に果される事はなかった。 キリトは待った。 長い年月待ちつづけた。 そして、それが10年を数えた時。 キリトは待つことに疲れ、自分が裏切られた事を知った・・・いや、そう思い込んでしまった。 小春に裏切られたと思い込んだキリトと、里の惨状と弟を失った悲しみから心を病んでしまった兄。 その兄弟によって谷は、魔の領域と化してしまったのだ。 その事が、小春の望みの障害になっていたとも知らず、兄弟はその谷に人間を誰一人として入れようとはしなかった。 そして、それから数年後。 キリトは兄と共に封じられる事になる。 その封じの社(今は鳥居すら残っていない)に、小春が毎日のようにお参りに来ていた事もキリトは知らなかった。 そして、時は流れ、キリトは再び自由を取り戻し、小春の子孫である加瀬守(今は風守)の一族と出会ったのだ。 たった一人の・・・何の力も持たない女性が残した意志は、500年以上も生き続けていたのだ。 村にはその出来事が、伝説のようにして残っていた。 それを知った時・・・キリトは過去の行いを後悔すると共に、二度と人を殺さない事を誓った。 しかし、真実を知った時。 キリトにはもう居場所がなかった。 里は跡形も無くなり、心を病んだ兄は人間の手で殺され、キリトはついに一人ぼっちになってしまった。 そして、周囲には、自分の事を殺そうとする人間ばかりだったのだ。 そんな場所に暮らせるはずもない。 しかし、キリトはこの思い出の詰まった土地を捨てる事が出来なかったのだ。 その打ちのめされ、傷つき、死すら願っていた魂を救ったのは、小春の子孫である昌平だった。 これは偶然というにはあまりに出来過ぎている。 それが、小春の願いの結果なのだと、今では素直に信じているキリトであった。 「だが、それはお前一人に限っての話しだ」 「その願いが500年も生きていたのです。 今後も生きつづける事に、私はまだ疑いを持っていません。 その願いが生きている限り・・・いつかあの村は妖怪との共存を可能とするでしょう」 その頬笑みに裏にあるのは、昌平に対する無条件の信頼。 それを感じ取った白姫も、思わず苦笑を浮かべた。 「まったく・・・懲りるという言葉を知らぬヤツだ」 「諦めないのが、人間の強さなのだそうです。 昌平がそう言っていました」 「諦めない・・・か。 だが、私はもう彼らとの生活に疲れた。 また誰にも頼らず、頼られず・・・仲間達と共に静かに暮らせる場所にいく事にする。 お前もその気になったら来ると良い。 いつでも私はお前を歓迎するぞ」 「ありがとうございます。 覚えておきます」 そう言ったキリトに、白姫は背を向けながら問いかけた。 「これは言うまいと思っていたのだが、今度会うのが何時になるか分らないので今言っておくことにする」 「なんでしょうか?」 「お前は、これまでに長い時間を人と共に生きた事があるか?」 「いえ・・・小春の時は3年足らずでしたし、昌平ともまだ数年です」 「ならば、これだけは覚えておけ。 人は我らより遥に短命で、うつろう存在なのだ。 人はいつまでも子供のような純粋さを保てない。 それは、あの昌平にも言えることだ。 妻をもち、家庭を持った時・・・人は変わるのだ。 それを怨むなよ? 選んだのはお前なのだからな」 「・・・」 「そして人は常にお前より先に死ぬのだ。 常に死を見取る立場は・・・つらいぞ」 「・・・覚えておきます」 「それが人をパートナーとするという事なのだ。 だから、私はお前に妻を迎えて欲しいと思っている。 せめて、これからの長い生涯を共に過ごせるような・・・そんな存在を持って欲しいのだ」 「・・・出会いは運命と言います。 私がそのような存在を得られるというのなら・・・いつか出会うでしょう」 「フッ・・・お前もいよいよ人間に毒されてきいるな。 まあそれも良いだろう。 遠く離れる事になるとはいえ・・・私はお前のことを忘れない。 また、いつか会おう。 さらばだ」 そういうと、白姫は闇に解け込むかのようにその気配を消した。 千年以上もの長きに渡って生きてきた大蛇の妖の持つ妖力は、まさに神と崇められるに相応しいものだったのだろう。 翌日。 昌平は痛む頭を抱えて、朝食を食べていた。 そして、食後。 「ほら、これを飲んでおけ」 「・・・サンキュ」 そんな彼の前に、薬と水を置きながら、キリトは少し寂しい気分を味わっていた。 「なあ、昌平。 オレはなぜこんなに長い命を持って生まれてしまったんだろうな?」 「・・・なんだ、突然?」 そう答えながら、昌平は薬を飲んだ。 「いや・・・昨日、白蛇姫様に言われたんだ。 オレは昌平より長く生きるのだがら、死を見取る覚悟をしておけ・・・とな」 「まあ、確かにオレはお前より早く死ぬだろうな」 「そうあっけらかんと言わないでくれ。 これまでその事を考えなかったのが不自然だったんだ」 そう言って、椅子に座りながら悩むキリトに、昌平は勤めて明るく告げた。 「そう深刻になるなって。 それよりさ・・・輪廻転生って知ってるか?」 「・・・知らん」 「人はな、いや、命ってのは死んだ後、又同じ命として生まれ変わることがあるんだそうだ。 まあ、いつになるかが分らないのが問題なんだけどな」 「ほう。 面白い話しだな。 だが、誰がどうやって確かめたんだ?」 「さあね。 少なくとも、証明する事は出来ないんだからな。 でも、インドの方にいるダライ・ラマとかいう有名なお坊さんは前世の記憶を持っているそうなんだ。 それに、世界中で、前世の記憶を持った人が生まれてる事も確認されてる。 まあ、完全な嘘じゃないって事さ。 オレも・・・そうなるといいんだけどな」 「・・・なにが言いたいんだ?」 「オレはさ。 死んでまた生まれ変わっても・・・また、お前と出会いたいよ」 「そうか。 オレもそう思う」 その答えはそっけないが、キリトの心は暖かいもので満たされていた。 「だろ? だからさ・・・信じようぜ。 いつになるか分らないけど・・・オレはお前の事を忘れない」 「そうだな。 オレもお前の事を探そう。 これは約束だ。 忘れるなよ?」 「ああ。 約束する。 オレ達は、お前が生きてる限り・・・いや、未来永劫ずっと親友だ」 「しかし、約束しておきながらこんなことを言うのも何だが・・・。 お前、本気で言っているのか?」 「当たり前だろ? これは約束なんだからな」 「そうだな・・・これは約束だ」 その約束が果されるのかどうかはまだ分らない。 しかし、小春はその約束を500年かけて実現したのだ。 あるいはこれも実現できるのかもしれない。 こんな約束を真面目に出来る親友を残してくれた事を、キリトは素直に遠い過去の恋人に感謝するのだった。 <終わり> |